御前崎市家庭医療センターしろわクリニック

御前崎市家庭医療センターしろわクリニックは白羽地区の中で小高い丘に位置する。近隣には小学校、幼稚園があり、地域の住民や子供たちの健康づくりができる施設である。敷地の北東面は、3mを超える崖に接地し、南面のみ前面道路に接する狭く限られた敷地の正面にまとめて駐車場を配置し、バス停からの利用者は、別のアプローチによって受診でき歩者分離を図っている。風除室は視認性を高めるために設けた大きな雨除けの庇を設けることで、誰でもわかりやすい建物入口へのアプローチとしている。建物周辺は避難通路を確保しつつ天候が良い日には、患者がリハビリで歩けるように計画、将来建物のメンテナンスも配慮している。敷地内の計画はすべてユニバーサルデザインとしている。1階は利用者ゾーンの待合と受診、リハビリをまとめ、バランスよく便所を配置している。リハビリ室はとても広いため、天井を高くし高い位置からの自然採光を取り入れ開放感のある空間としている。待合スペースは南の大きな開口部より自然採光を取り入れる計画で明るい空間を演出している。また、見通しを良くすることで、利用者の受診する部屋や、管理者側が利用者の状況確認しやすい計画としている。管理者ゾーンは、建物中心部に事務室、訪問待機室、ナースステーションを配置し、ナースステーションは、処置室やプリセプター室と連携がとれるように配慮している。プリセプター室からは、それぞれ5室の診察室へ繋がり、スムーズに受診できるように配慮することで少人数でも施設を運営できる計画としている。2階は管理者ゾーンの所長室、指導医室、非常勤医室でまとめ、研修医、医学生の実習のため学生控室、レジデント室や大会議室に構成されている。空調設備は、加湿設備を設置し、冬期の室内環境に配慮している。換気設備については、外気を直接室内へ導入するのではなく、外気処理設備を設置し導入外気温度をコントロールすることで、室内環境に配慮している。衛生設備は、節水型の便器等を採用し、施設のランニングコスト低減に配慮している。建物が東西に長く南北に短い形状の理由として、昼間の建物内は自然採光を十分取り入れ明るい空間を演出し、停電でも空調に頼ることなく、地域の特性を理解し南から北へ風が抜ける計画である。構造的には静岡県構造設計指針に適用している。1階屋上には、非常用発電機を設置し災害時3日間の電気の供給が可能である。その他2階屋上に20kwの太陽光発電と蓄電池を設置しており、災害時の停電対策としている。受水槽を1階屋上に設置し、給水タンクを設けることで、災害時のインフラ破断時でも施設で水が使用できるように配慮している。

所在地:静岡県御前崎市
床面積:1,491.18㎡
構造/規模:鉄骨造/地上2階
竣工年:2017年